講座概要
本講座は、時間的・空間的に分散して取得管理された電子的な健康・医療データを、携帯電話や無線LAN端末といったモバイル情報機器と、携帯電話などの情報ネットワークとによって仮想的に統合できる新しい健康情報空間を構築し、その実証試験を行います。
医療提供者側に対しては、特に医療機関において診療時間内という限られた時空間でのみではなく、いつでもどこからでも施設内と同様の情報環境にアクセスできる仮想情報空間を提供することを目指し、そのメリットやデメリットを研究します。また患者や保健サービス利用者には、どこからでも自身の医療・健康情報を携帯電話や無線LAN端末を用いて仮想的に持ち運びできるような環境を提供します。こうした情報環境は、救急時などに確かな病歴・処方情報を医療機関に提示でき、リスクに対して自身を守る大きな価値を持つものと考えられます。
このような実証研究の延長として将来的には、医療もしくは保健サービス提供者と、その利用者(患者等)の双方が、同時に物理的に医療機関にいなければ医療ができないという時間的・空間的制約を取り除く将来の診療の在り方そのものへの検討を行うことも目指します。
特に我々は医学的・医療経済的な医療のアウトカムを重要視した研究を指向します。
NTTドコモ株式会社との共同研究プラットフォームとして、企画情報運営部を親講座とし、循環器内科・糖尿病代謝内科を協力講座として運営致します。モバイルITおよび周辺機器環境開発を軸とし、これを応用した臨床医学的検証を同時に進めます。循環器内科・糖尿病代謝内科領域において疾患の治療に携わる医師とともに疫学・情報工学・臨床工学専門家の参加を頂き、幅広く学際的な方法論を駆使し科学的検証を行っていくことに重点を置いて参りました。
社会連携講座として設立されて以来3年を経過した当講座は特に臨床的アウトカムを重視し選択したテーマを軸に開発を進めてきましたが、平成24年度ではこれらの臨床実証試験をフィールドにおいてすすめて、成果を得ました。